昨日『カポーティ』観に行ってきました!
シネマクレールはけっこう人が多くって、やっぱり話題作だからかなあ??って思った。 フィリップ・シーモア・ホフマンのカポーティ役の評価が高かったので、すごい期待して行ったのですが、やっぱりフィリップ・シーモア・ホフマンにしか見えなかった。。 そんなに似てるか?? それよりも、カポーティが取材する犯人役の俳優さん、どっかで見たけど、何に出てたっけ?ってずーっと考えてて、 (外の病院に長期出張に行ってる某先生だ!!) って気づいてからは、その俳優さんがアップになるたびに笑いをこらえるのが大変でした。。 映画はなんかアンビエントな感じでした。 空気感とかすごくよかった。 現代に暮らす人の部屋の空気は、テレビの騒音や電磁波でいっぱい。 でもこの映画は、まだ大気の中に電波が飛びかっていない時代の、そこにいる人の感情で満たされた室内の空気を充分に感じさせてくれる映画です。 静かな室内も良いし、パーティーのラウンジ感もステキだった。 音楽も良かった! やっぱミッドセンチュリーはいいですね。 ハーパー・リー役の女優さんが素敵だった。 写真とかを見ても、この頃の時代の女の人って、「考え深そうな顔」をしている人が多いんです。 今そういう顔の人ってあまり見ないけど、好きなタイプの顔です。 ストーリーは、ドキドキハラハラさせるわけでもなく淡々と進むのですが、飽きさせないところが上手だなあって思った。 犯行のシーンは直視できなかったなあ。 でもいちばん怖かったのは、 "犯行が起きた町で、すべての家の明かりは一晩中灯っていて、人々はきちんと服を着て起きていて、まだ捕まらない犯人の存在に震えている" っていう描写を聞いた時に思い浮かんだ、家々の外に広がる真っ黒の闇でした。 解釈は色々あるかもしれないけれど、カポーティは最初から最後まで犯人のことを、自分の小説のための素材としか思っていなかった気がする。 永遠に赤ちゃんでいたかったカポーティにとって、一番大切だったのは「ご機嫌な自分」なのだから。 だけど命の重さという現実は彼に、赤ちゃんのままでいることを許さなかった。 次第に現実に侵食されていく彼は、破滅に向かうしかなかった。 選んだテーマが悪かったのか。。 「冷血」は文学的に評価が高い作品だけど、何度も手に取りながら、いまだに読んだことがありません。 私が好きなカポーティの世界とは、あまりにも落差がありすぎて。 いちばん好きなのは『クリスマスの思い出』です。。 まだ同性愛者に対する偏見が強かった時代に、ゲイであることを公表していたので、行く先々で変な目でみられるカポーティが描かれてました。 私はゲイの人に対する偏見って全くないのです。(自分が同性から好かれたら困りますが・・・。) むしろその人の長所だと思う方です。 ゲイの人たちは、美しいものに対して繊細な感覚を持っているし、おとぎ話や幻想の世界に詩的な夢を見ることができるのが、何より素晴らしいところです。 もし彼らがいなかったら、過去に作られた「美しいもの」の3分の1がなくなっているんじゃないかと思います。 チャイコフスキーやバーンスタインの音楽、コクトーやヴェルレーヌの詩、ベジャールのバレエ、ファッションの歴史に残るオートクチュールの数々だってなくなってしまう。 芸術全般において、なくてはならない人たちです。 何年か前に養老孟司さんが、男女共同参画社会のイベントで講演に来られたときに、 「人間には男性と女性の2つの性しかないと思うのは大間違い。肉体的にも精神的にも、2つの性の間には無限のバリエーションがあり、境界ははっきりしていない。だから"男女共同参画”という言葉自体がナンセンスです。」 ってイベントの存在自体を無にする発言をスパッとされてましたが(笑)、ほんとそうなんだろうなって思います。 いろんな人がいていいじゃん。。 人に迷惑かけたらいけないけどさ。
by songsforthejetset
| 2006-10-19 21:14
| 映画
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