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オペラ『風の嬉遊曲』

昨日はオリエント美術館に、オペラ『風の嬉遊曲』を観に行ってきました。
岡山在住の音楽家、下山恭正さんの作曲&指揮の作品です。

最近になって、TVとかでも紹介されてたりするのですが、江戸時代の1785年に「人類で初めて空を飛んだ」幸吉の物語です。
八浜生まれの紙職人・幸吉は、蓮昌寺の境内で鳩を観察し、そのデータをもとに紙を貼った木製の翼を製作し、京橋から飛んで3~40mくらいの飛行に成功したそうです。
これが海外だったら「すごい大発明!!」ってことになるのですが、そこは鎖国時代の日本、反対に「人心を惑わした」罪で岡山を追放になってしまいます。

そんな物語を、古楽が専門の下山さんが古楽器を使ったオペラに仕上げました。
最初このオペラの話を聞いた時には、題材が地味だし、しかも台詞はオール岡山弁っていうので、一体どんな作品になるのか、勝手にすごい心配だった。。

しかし!昨日の舞台は素晴らしかったです!!

音楽もすごい良かったし、岡山弁がとっても音楽的に聴こえてた。
幸吉が飛んだ時代はモーツァルトと同じ時代だそうで、その辺も意識して作曲したそうですが、ほんとこの岡山弁のオペラは洗練された作品に仕上がっていました。

立ち見も出て場内満員のお客さんは、私が見る限りまったく退屈することなしに最後まで鑑賞してました。
普通クラシックのコンサートって、興味があってきた人以外は途中でけっこう退屈して、パンフをガサガサと見ていたり、もぞもぞする人が多いのですが、そういった人が皆無でした。
これがもしもオペラでなくて、普通の演劇だったら、退屈してる人多かっただろうなと思います。
何しろ音楽が素晴らしかったので、それで観客の心が最後まで離れなかった。

下山さんの音楽ももちろんですが、プロと東京芸大の大学院生で構成された、歌手の方たちの歌も素晴らしかった!
個人的に船頭さんの歌が好きでした。
演じられた新海さんの声がすごくつやがあって良かった。
主役の幸吉と恋人のみゆき役の2人も、フレッシュな感じでとても良かったです。

そして、古楽界一のイケメン(と私が勝手に認定)・オーボエの三宮正満さん率いる、バッハ・コレギウム・ジャパンとオーケストラ・リベラ・クラシカのメンバーで構成された、アンサンブル・ヴィンサントの演奏の美しかったこと!
もっと聴きたかった。。
またコンサートに来てくれないかなあ。

下山恭正さんは、岡山在住の音楽家で、作曲や演奏(リュートやギター、ヴィオラ・ダ・ガンバなど)の活動をされています。
お家は下山松壽軒っていう「きびだんご」や「米のなる木」を作っている老舗の和菓子屋さんです。
慶應の商学部を卒業後、ロンドン市立ギルドホール音楽院(オーランド・ブルームが後輩らしい・・・。)、ストラスブール国立音楽院、リヨン国立高等音楽院に留学して、フランスで"La Brillante"っていう古楽アンサンブルを率いて活動してた方です。
音楽家って、芸大出ててもなかなかやってくのが難しいんじゃないかと思うのですが、全然分野違いの出身でここまで活動されてるのは、やっぱり才能だなあって思います。

下山さんとは知り合いになってもう7、8年経つと思いますが、その間にいろいろ貴重な経験をさせていただきました。
下山さんが主催していた古楽のコンサートシリーズで演奏された音楽家の方たちとも、演奏後の打ち上げなどでお話する機会をいただいたり、4年前に上演されたバロックオペラ『オルフェオ』製作のお手伝いもさせていただいて、いろんな方たちとも知り合えました。
下山さんのお友達のプロの音楽家やデザイナーが、ほぼボランティアでフランスからやってきて、岡山では普通観られないような舞台が実現しました。
ほんと素晴らしい経験だった。
すごくいい思い出です。

下山さんが指揮すると、音楽がほんと綺麗に聴こえて、私は大好きなのです。
かろやかで爽やか、新緑と陽の光を感じさせるような美しい響きです。
本人の性格が大きいんだと思いますが、さすがだなあっていつも思います。

このオペラも、音楽を楽しんでいたら、あっという間に途中の休憩がきました。
昔から下山さん主催のコンサートでは、休憩中にワインやジュース、ケーキやクッキーなどのアミューズメントがふるまわれます。
ヨーロッパのようにもっと音楽を身近に楽しんでほしいという、下山さんと下山家の方々の心遣いなんですが、幕間の休憩時間が華やかになって、とっても楽しいです。
今回用意されていたのは、西川沿いのパティスリー「TRUNK」の美味しい焼菓子でした。
マドレーヌをいただいておしゃべりしてたら、30分の休憩があっという間に終わり、第2幕へ。

第2幕も音楽を聴いていたら、すぐ終わってしまった。。
あともう1幕あっても良かったんじゃないの?って思ったくらい、もっと聴きたかったです。
もっと大掛かりな舞台にして、ヨーロッパの音楽祭とかで上演してほしいです。
絶対海外の方が受けると思いました。
題材も新鮮だし。

ともあれ、無事上演終わって良かったですね♪
下山さん&下山家の皆様お疲れ様でした!!
by songsforthejetset | 2006-12-10 21:34 | 芸術いろいろ
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