TVをつけたら、NHKスペシャルで赤ちゃんの発達についての面白い番組をやっていました。 どういう風に赤ちゃんは成長していくのかを、いろんな角度から紹介した番組でした。 最初から見たかったなあ。。 シカゴ大学名誉教授の、ピーター・ハッテンロッカー先生の研究によると、赤ちゃんの脳のシナプスは、8ヶ月~1歳のあいだに、成人の1.5倍に増えるのだそうです。 この時期に、成人よりも多い脳のシナプスが必要になるのは、自分のまわりを探って、環境を見極めるためなのだそうです。 急激に増えるシナプスは、どんな環境にも適応するための、力のみなもととなります。 しかしその時期を過ぎると、脳のシナプスはゆっくりと減りはじめ、いったん得た能力も、ある時から下がってしまうそうです。 しかしそれは、 「一旦後退させることで、人間のような複雑な仕組みを発展させていく戦略」 なのだそうです。 できることを一旦減らし、新たな可能性を押し開く戦略が、赤ちゃんの成長過程には自然に備わっているんですって。 人間の体の仕組みってすごい。。 これは、役に立たないシナプスが減ることで、新たに有効なシナプスを形成できるようにしているのだそうです。 赤ちゃんにとっては、毎日の何気ない経験の積み重ねが、生きる環境そのものなので、その中で取捨選択を繰り返していくことで、有効なシナプスが形成され、必要な能力を高めていくのだそうです。 どんな環境が赤ちゃんの成長にいいのかという研究に、"赤ちゃんに外国語を効果的に学ばせる"ことを通じて取り組まれている、ワシントン大学のパトリシア・クール先生が紹介されていました。 アメリカ人の赤ちゃんに中国語を学習させるとき、ビデオの教材を見せただけでは、赤ちゃんは興味を示しているのにもかかわらず、中国語の学習には全く役に立っていませんでした。 しかし、ビデオの中と同じお姉さんがやってきて、赤ちゃんと直接関わって学習させたとき、そこにははっきりとした効果があらわれました。 人間がいれば身につく。 社会的な人との関わりが、学習にとっては重要なのだそうです。 人との関わりの中で学ぶことには、極めて強い力があり、 「人とのつながりが、人を育てる」 といえるのだそうです。 番組で取材されていた、あおいくんという男の子は、ハイハイがまだできない時期に、ハイハイしたりつかまり立ちをするほかの赤ちゃんたちと接しました。 そうしたらその2日後、ハイハイを急にしはじめたのです。 おすわりができたのも、お友だちに会ってすぐのときだそうで、 「同じことが突然できるようになる」 とお母さんがおっしゃっていました。 このように、赤ちゃんは、人とのやりとりのなかで、現実に必要な能力を獲得していくのだそうです。 つまりそれは、 「あらゆる環境に備えた能力を持っていて、その多くを切り捨て、ほんとうに必要な能力を選び取り、自らの未来をかたちづくる」 ということなのだと、番組の最後をしめくくっていました。 なんか。。赤ちゃんってすごいですね。 自然にそういうことが行われる仕組みになっているなんて、人間の体ってほんとによく出来てるんだなあって思った。 自分で選んで未来をつくる、っていうことを、赤ちゃんの頃からみんな自然にやってるんですね。 まわりの環境の中で、よりよく生きるために。 そして、赤ちゃんって実はいろんなことがわかってるんだなあって思った。 わかってるどころか、これ以上ないくらいにいろんなことをキャッチしていて、まるで「感覚のかたまり」みたい。 自分たちと同じようなコミュニケーションの方法をとっていないだけで、ものすごい速度でいろんなことを吸収して、選び取ってるんですね。 3歳くらいまでの子に、生まれたときの記憶を聞いてみたら、たくさんの子がその時のことや、生まれた後のことも語れるそうです。 そのお話を集めた本を以前読んだことがあって、赤ちゃんが驚くくらいいろんなことを詳細に覚えていることに、すごく感動したのだけど、今回の番組を見て納得しました。 なんとなく、今度公開される映画「潜水服は蝶の夢を見る」を連想しました。 脳溢血で全身麻痺になってしまった中年男性が、唯一動く片目のまばたきだけで外の世界とコミュニケーションして、本を書くというお話です。 その男性には自分の周りのことがすべて見えて、聴こえているのに、体がまったく動かせないので、自分はまるで潜水服を着せられて、海に沈められているような感覚なのです。 その反対に赤ちゃんは、思うように動けない状態からどんどん自由になっていくので、幼虫から蝶になっていくみたい。 そしてその成長には、他人との関わりが重要なんですね。 それはそのまま大人に置き換えてもあてはまると思う。 「人は人によってしか磨かれない」 って言葉を、本かなにかで読んだことがあって、とても印象に残ったのですが、そのとおりだと思います。 ほんとに世の中いろんな人がいて、いろんな人に会えば会うほど、いろんな事態に直面することになるけれど、それはそのまま「事例を学習」してるのであって、自分の中の選択肢が増えて、よりよい方法を選び取るのにつながるんだなあって思います。 「世界を広げる」ってよく聞く言葉ですが、「世界=人」なのかもしれないって思います。 人との関わりがなかったら、どんなに遠くまで行っても、自分の中の世界は広がらないのかもしれない。 あ、でも人生を変えるようなすごい絶景とか、宇宙から地球とか見てしまったら広がりそう(笑)。 私は、生まれて半年くらいで、母親が病気で半年ほど入院してしまったのですが、それってこの番組で言うと、ちょうど脳のシナプスが最高値の時だったんですね。 母親はいなかったものの、祖父母に父親におば2人と、みんな総出で面倒をみてくれたそうで、いつも誰かに抱っこ&おんぶされていて、布団に寝ているときがなかったくらいだそうです。 でもきっと自分は、お母さんが急にいなくなったので、(なんでー(T_T)?!)と思いながら、(でもうまくやってかなくちゃ。。)ってシナプス総動員してたっぽいです。 家は食堂をしていたし、祖父にはお客さんがとにかく多かったから、とりあえずその時期にたくさんの人と接したんだと思います。 それに子供の頃は、デパートや商店街の売り場の人や催事で来ている人に遊んでもらっていたし、同世代の子とも遊んでいたし、街の中の様々な人たちが自分の世界だった。 もしかしたら、そういった経験が、いま私がいろんな人と会うのが好きだったり、人に魅力を感じるきっかけになっているのかもしれません。 何で人が面白いんだろう? って考えてみると、 「内部でいつも何かが起こっていて、変化しているから」 なんだなあって思います。 一人一人が本みたい。 装丁もそれぞれ違っていて、内容もひとつとして同じものがないのです。 常に書き続けられていて、読んだはずの場所も後から変化します。 永遠に読み終わることのない本。 でもそれを読み解こうとして、こちらの本の内容も影響されて変わっていきます。 きっとそういうことが面白くて、好きなんだと思います。 私も読んでもらったときに、誰かの役に立ったり、なごんでもらったりする本でありたいです。 そしてそれをつくっていくのは、明日出会うまだ未知の本や、まだ読んだことのないページなのだろうなあって思います。 たくさんの変化しつづける世界に向けて、心はいつも開いた状態でありたい。 難しいこともいっぱいあるけど、人と関わり続けていく限り、心は成長しつづけることができるんじゃないでしょうか。 赤ちゃんのような心でいたいものだと思いました。
by songsforthejetset
| 2008-01-22 21:11
| つれづれ
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