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藤井康生さん講演会 「アナウンサーに学ぶ質問力 -医療面接に役立つインタビュー技法-」その2


NHK名古屋のアナウンサー、藤井康生さん。
大相撲の解説をされるようになって22、3年になるそうです。

お相撲さんとは会話がとても難しいのだとか。
カメラを向けた時に、あまりしゃべらないのが普通なのだそうです。

それは力士同士、先輩や親方からの教えの中に、
「相手に勝ったことを大っぴらに話すのは失礼」
ということがあるからなのだそうです。

それは"嬉しさをかみ殺して相手を気遣う"という、お相撲さんの世界の礼節を重んじる美しい部分だそうですが、インタビューする側からすると大変だとおっしゃっていました。

お相撲さんは20代から30代の若者。
舞台裏ではにぎやかに普通の若者として話をしているそうです。

話を引き出すには、やはり普段からのおつきあいが大事なのだそうです。
ただ食べるのも飲むのも大変なのだとか(^^;

「皆さん、武蔵丸が何本くらいビールを飲むかわかりますか?」
って、会場にたずねられた藤井さん。
なんと330mlのハワイのビールを、3時間で180本も飲んでしまったそうです!
重さにして約60kg。。

また、後援会の方に食事のあと、銀座の超高級クラブに連れて行っていただいた際には、2時間でブランデーのヘネシーを17本もあけてしまい、さすがに2日間二日酔いだったとか。
金額にして200万円くらいだそうです。それもすごいですね(^^;

そういった雑談を聞いても、藤井さんがそれを相撲中継の際に出されることはないそうです。
しかし、
「そういった話を出してもらえる関係であることが大事」
とおっしゃっていました。

続けて藤井さんは、

一対一というと、一生懸命聞くのが大切。
アナウンサーはしゃべるのではなくて、いかに人の話を聞くか。
本職の人から、感心するような話や驚くような話、本当の部分を引き出せるかが大切。

それには普段から話をすること。
近い人と言葉のキャッチボールをする。
相手の話を聴いて、次に行ったり方向転換したりする。
それを普段の生活から目指していくこと。
経験を積むこと。

話をするのが好きな人は、相手の話をよく聴くこと。
話をしない人は、話をしてみること。

心がわかりあっている人の会話は成立している。
それを心において人生を歩んでいってください。

と一旦ここで講演を締めくくられました。


相手からよりよい話をきけるのは、つまりは「技法」ではなくて自分自身の物事の受け止め方や関わり方なのだということに気づかされました。

聞く力がある、受け止める力があるということは、その人の人間としての力が高いということなのだろうと思います。

聞き手によって答えも変わってくる。
そう考えたら、相手から返ってくる言葉は、自分次第なのだろうなあって思いました。

世界を広く持ち、柔軟に素直に受け止めている人、そして相手に「その人のいいところ」について気づかせることを自然にしている人。
話しているうちに新しい発見があって、どんどん未来に向かって展開して行く。

そういう会話はいくらでもしていたいし、それはお互いにとっての「よいインタビュアー」になっているということなのだろうなって思います。


お話をお伺いしていて思ったこと。
藤井さんの声には、何より「誠実さ」がいちばん感じられました。
真剣勝負をしている人の声。
それはアナウンサーにとって、とても大切なことなのではって思ったのです。

途中すもう中継みたいにちょっとしゃべってくださったのですが、
「この声だ~~!!」
ってすぐわかりました。
↓たぶんこの声。
http://jp.youtube.com/watch?v=yF39EuuMSXc

わたしは仕事柄、毎日電話をたくさん受けます。
時たま怪しい名簿業者みたいな人が、開業医の先生とかを装って電話してくることがあります。
でも最初の一声で一発でわかります。
なんでかっていうと、そういう人の声は一様に、「毎日人を騙している人の声」をしているからです。
いくら演技をされても、それらしく話されても、声にはその人があらわれる。

電話を通じて伝わるその人自身"テレフォン・パーソナリティー"はつくることができないのだそうです。
だから"テレフォン・パーソナリティー"を良くしようと思ったら、何よりも自分の内面を磨くことがいちばんなのだ、と以前雑誌で読んだことがありますが、ほんとうにその通りだと思います。

わたしは自分の声、すごいコンプレックスなんですが。。
もっとはっきりしゃべろうと努力中です(^^;


次は会場との「質疑応答編」です。
by songsforthejetset | 2008-08-30 00:55 | つれづれ
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